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リフレクションとは?振り返りが形骸化する理由と、企業で行動を変える実践設計

リフレクションとは?振り返りが形骸化する理由と、企業で行動を変える実践設計

リフレクション(reflection)とは、自分の行動や判断を一度立ち止まって振り返り、
「なぜそうしたのか」「次にどう変えるか」を考える行為を指します。

単なる反省や感想とは違い、
・何が起きたのか
・自分はどう関わったのか
・別の選択肢はなかったのか

といった問いを通じて、次の行動につなげるための内省である点が特徴です。ここで重要なのは、「振り返ること」そのものが目的ではない、という点です。

リフレクションの本質は、過去をきれいに整理することではありません。未来の行動を、ほんの少しでも変えるための材料を集めることです。教育や人財育成の分野では、経験から学ぶ力を高める方法として以前から使われてきました。企業研修の文脈でも、「経験を経験のまま終わらせない」ための考え方として注目されています。

一方で現場を見ると、
「リフレクション」という言葉だけが先行し、
やり方や使いどころが曖昧なまま導入されているケースも少なくありません。

その結果、
・形としては振り返っている
・書類やコメントは増えている
・しかし、行動は変わらない

という状態が生まれます。
ここに、多くの企業が抱える違和感があります。

「振り返りをやっているのに、何も変わらない」

リフレクションが大事。
研修のたびに、そう言われます。

実際、多くの企業ですでに次のような取り組みが行われています。
・研修の最後に振り返りシートを書かせる
・1on1で「どうだった?」と聞く
・週報や日報に内省コメントを書かせる

形式としては、十分に「やっている」状態です。
むしろ、やっていない企業の方が少ないかもしれません。

それでも、現場から聞こえてくる声は似通っています。

・書いてはいるが、内容が毎回ほぼ同じ
・気づけば反省文になっている
・翌週には行動が元に戻っている
・上司も、どう関わればいいのかわからない

「ちゃんとやっているはずなのに、なぜ変わらないのか」

この違和感が、検索の出発点になっている人は多いと思います。

ここで一度、視点を切り替える必要があります。リフレクションが機能しない原因は、人ではなく“構造”にあるということです。

リフレクションは「仕組み」にしないと機能しません

リフレクションは、個人任せにするとほぼ失敗します。

意識が高い人ならできる、という話ではありません。むしろ真面目な人ほど、「うまくやろう」と考えすぎて空回りします。

個人任せのリフレクションには、必ず次の問題が残ります。
・何を考えればいいのか分からない
・どこまで考えれば十分なのか分からない
・考えた結果をどう扱えばいいのか分からない

この状態で「もっと内省しよう」と言われても、現場が戸惑うのは当然です。

逆に言えば、
・行動基準
・評価の考え方
・上司の関わり方

まで含めて設計すれば、リフレクションは非常に強力に機能します。

つまり、リフレクションは「良いこと」や「意識が高い人の習慣」ではなく、
「組織としてどう使うか」の問題です。

ここを押さえないまま「もっと深く振り返ろう」と言っても、現場は疲弊するだけです。

なぜ“内省”は個人任せだと失敗するのか

リフレクションが機能しない理由は、大きく3つあります。

1. 何を考えればいいかが決まっていない

多くのリフレクションは、
「どう感じましたか?」
「学びは何ですか?」

で終わります。

一見すると悪くなさそうですが、
問いが抽象的すぎると、人の思考は表層で止まります。

結果として、
・大切だと思いました
・意識が足りなかったと思います
・今後に活かしたいです

といった、どこにでもある言葉が並びます。

これは本人の能力の問題ではありません。
問いが曖昧だから、答えも曖昧になる。
ただそれだけです。

2. 行動と結びついていない

内省しても、
・次に何を変えるのか
・何をやめるのか

が決まらなければ、行動は変わりません。

考えた「つもり」にはなりますが、
現実には何も動かない。
これは、形骸化したリフレクションの典型です。

3. 組織側の受け皿がない

本人がどれだけ考えても、
・上司が前提を共有していない
・評価とつながっていない
・現場で使われない

こうなると、内省は自己満足で終わります。

リフレクションは
「個人の内面」×「組織の構造」
この両方が噛み合って、初めて意味を持ちます。

うまくいかなかった企業/変わった企業

ここで、実際によくある2つのケースを紹介します。
(特定企業ではなく、複数事例をもとにした擬似ケースです)

ケースA|リフレクションが形骸化した企業

若手向け研修の最後に、毎回振り返りシートを書かせていました。

内容は
「学んだこと」
「今後活かしたいこと」

・ただ、数ヶ月後に見返すと
・毎回ほぼ同じ文章
・抽象的
・行動に変化なし

本人も「書く意味がわからない」と感じ始め、
上司も特に触れない。
結果、形式だけが残りました。

ケースB|行動が変わり始めた企業

別の企業では、リフレクションをこう設計しました。
・行動基準を先に定義(例:報連相・質問・仮説)
・振り返りは「どの行動をやった/やらなかったか」に限定
・次の1週間でやる行動を1つだけ決める
・上司は評価ではなく「確認役」に徹する

すると、
「考え方」ではなく
「やる・やらない」が整理されるようになり、
行動の変化が見え始めました。

違いは、才能でも意識の高さでもありません。
設計です。

企業でリフレクションを機能させる5ステップ

ここからは、実務で使える形に落とします。

ステップ1|行動基準を先に決める

まず
「何について振り返るのか」
を明確にします。

例:
・上司への相談の仕方
・会議での発言
・顧客へのヒアリング

ここが曖昧だと、すべてが崩れます。

ステップ2|問いを固定する

毎回問いを変えません。

例:
・今日、基準通りにできた行動は何か
・できた理由・できなかった理由は何か(どんなことが言えそうか)
・次に1つ変えるとしたら何か

シンプルですが、思考は深くなります。

ステップ3|「行動」と「感情」を分ける

感情の内省は大事です。
ただし、行動と混ぜない。
・実際にやったこと(行動)
・感じたこと(感情)

この2つを分けて書かせます。

ステップ4|気付きを書かせる

実際にやったこと(行動)と感じこと(感情)から
「どんなことが言えそうか= 気付き」を書かせます

気付きの例
・自分自身の特徴(どんな時にどうなり易いなど)
・上手くいく⇔上手くいかない法則
・上手くいかなかったことで得た教訓

ステップ5|気付きを基に次の行動を1つだけ決める

欲張らないこと。
行動変容は量ではなく、継続です。

ステップ6|上司・組織の関わり方を決める

評価しない。
説教しない。
確認と支援に徹する。

ここまで含めて、初めて「仕組み」です。

専門家視点で見た失敗パターン

最後に、よくある落とし穴を整理します。

・リフレクションを“良いこと”扱いして放置する
・深さを求めすぎて思考停止させる
・上司の関与がバラバラ
・評価制度と真逆のメッセージを出している

特に多いのが
「内省は大事」と言いながら、評価は数字だけ
という矛盾です。

これでは、誰も本音で振り返りません。

リフレクションを“文化”にするために

リフレクションは、魔法ではありません。
意識が高い人だけのものでもありません。

設計すれば、誰でも使える技術です。

もし今、
・研修の効果が見えない
・行動が変わらない
・振り返りが形だけになっている

そう感じているなら、
問題は人ではなく、仕組みかもしれません。

ヴォケイション・コンサルティングでは、
リフレクションを行動変容・評価・育成へとつなげる設計支援をしています。

「このまま同じことを続けていいのか」と少しでも思ったなら、一度整理してみるのはいかがでしょうか。

行動が変わる組織には、必ず理由があります。
そして、その多くは“設計”です。