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ジグソー法とは?企業研修で成果を最大化する学習設計と実践ステップ

ジグソー法とは?企業研修で成果を最大化する学習設計と実践ステップ

ジグソー法とは?

ジグソー法(Jigsaw Method)とは、参加者同士が「教え合い」「協働し合う」ことで理解を深める学習手法です。アメリカの心理学者エリオット・アロンソン(E. Aronson)が1970年代に開発したもので、“一方的に教えられる”のではなく、“自ら学び、仲間に伝えることで学習効果を最大化する” ことを目的としています。

企業研修の文脈で言えば、ジグソー法は次のような課題に対する“構造的な解決策”になります。
・受講者が受け身で、研修後に行動が変わらない
・講義形式だと伝わったかどうかが曖昧
・他部署との協働や対話が生まれない
・研修をしても現場活用が進まない

こうした問題は「情報のインプットに偏り、参加者自身が“学びを再構成する体験”をしていない」ことから生じます。

ジグソー法はこの構造を根本から変える学習設計であり、“自分が理解し、他者に伝える”というプロセスを通じて、知識が定着し、行動変容につながるのが最大の特徴です。

ジグソー法の仕組み

ジグソー法は大きく次の2つのステップで構成されます。

1.エキスパート活動
 参加者それぞれが、テーマの一部を担当し“その部分の専門家(エキスパート)”になるステップ。

2.ジグソー活動(教え合い)
 異なる担当領域のメンバーが組み合わさり、互いに教え合って全体像を完成させるステップ。

この「分担 → 統合」の流れが、まさに“パズル(ジグソー)”を組み合わせるような構造であり、学習効果を最も高めるポイントです。

なぜ企業研修でジグソー法が効果的なのか

学校教育で使われるイメージが強いですが、最近は企業でも急速に採用が増えています。
理由はシンプルで、ビジネス現場の学習構造と相性が抜群だからです。

● 主体的に学ぶ「当事者性」が強制的に生まれる

自分の担当領域を理解しないと“仲間に伝えられない”ため、参加者は必ず主体的に学びます。講義型では絶対に生まれない集中力が自発的に発揮されます。

● 教えることで理解が深まり、記憶定着率が高まる

教育学の研究では、「人に教える」行為は“最も学習定着率が高い行動” とされています。ジグソー法はこの構造を研修に組み込む方法です。

● 部署間連携や対話が自然に生まれる

異なる担当領域を持つメンバーが教え合うことで、コミュニケーション量が爆発的に増えます。これにより、研修を通じたチームビルディング効果が生まれます。

● 現場課題の“自分ごと化”が進む

誰かから聞いた情報ではなく、自分で咀嚼し、仲間へ伝えるプロセスにより、学んだ内容が行動に落ちやすくなります。

企業がジグソー法を使うと得られる典型的な成果

実際に企業で導入されると、次のような成果が期待できます。
・研修参加者の発言量が増え、場が活性化する
・研修後の現場行動への転換が早い
・組織内に“学び合う文化”が生まれる
・管理職研修・新人研修・営業研修など幅広いテーマに応用可能

つまりジグソー法は、単なる「グループワーク」ではなく、企業の教育課題を構造的に解決する“学習デザインの仕組み” といえます。

ジグソー法の手順と流れ

ジグソー法は、一見「グループワーク」のように見えますが、実際には 学習内容を分解し、参加者が専門家になり、互いに教え合って統合する -という“学習設計のフレームワーク”です。

ここでは、企業研修でそのまま導入できるように、手順を具体的な流れとして整理します。

STEP 1:テーマと目的の設定(最重要)

企業研修で最も陥りやすい失敗は 「ジグソー法をやること自体が目的になる」 というものです。まずは次を明確にします。

・何を理解してほしいのか
・どんな行動変容を起こしたいのか
・研修後にどの場面で使う知識なのか

例:
「心理的安全性の4要素を実務に応用できるようにする」
「評価制度の背景と運用ルールを自部署へ説明できるようにする」

目的がズレると全てが崩れます。ここが最重要です。

STEP 2:資料(役割)の分割

ジグソー法のキモは “分割の質” にあります。

企業研修での分割例:
・評価制度 → 「目的」「評価基準」「面談手順」「フィードバック」
・コンプライアンス → 「情報管理」「ハラスメント」「SNS」「外部委託」
・営業研修 → 「顧客理解」「競合分析」「提案構造」「クロージング」

分割の基準は「誰か1人に任せても理解できる適切なボリューム」。短すぎても、長すぎても失敗します。

STEP 3:エキスパート活動

参加者は自分の担当資料を読み込み、理解し、「仲間に教える前提」で知識を整理します。

エキスパート活動のポイント:
・1人10〜20分で理解できる分量にする
・資料に“問い”をつける(例:このポイントを1分で説明すると?)
・シート形式にして「要点」「例」「注意点」を書き出させる

企業研修では“問いを与える”だけで理解が一気に深まるため、ファシリテーターの腕が問われるフェーズです。

STEP 4:ジグソー活動

ここがジグソー法の本番です。異なる分野のエキスパートが1グループに集まり、お互いに教え合って全体像を組み立てます

ポイント:
・1人3〜5分で教える(時間制限があるほど良い)
・ホワイトボードやMiroで「全体図」をその場で作る
・伝え終わったら“質問タイム”を必ず設ける
・ファシリテーターは「深掘り質問」を定期的に投げる

ジグソー活動の理想は、教える側が最も理解を深め、聞く側が全体構造を把握できる状態
講義では絶対に生まれない集中・対話・熱量がここで一気に生まれます。

STEP 5:統合・チームアウトプット

教え合いの後、必ず成果物を作ることが重要です。
例:
・「評価制度の全体像を A4 1枚にまとめる」
・「顧客分析〜提案までの流れを図解する」
・「ハラスメント対策の“現場での注意点”を3つに要約する」
・「心理的安全性を高める具体行動10個をリスト化する」

成果物を作ると内容が“構造化”され、企業研修で最重要の“現場で使える状態”に変わります。

STEP 6:共有・フィードバック

各チームの成果物を共有し、相互フィードバックを行います。
・他チームのまとめを聞くと“抜け漏れ”が瞬間的にわかる
・同じテーマでも違う視点が見えて学びが深まる
・管理職・リーダーの“思考パターンの違い”が可視化される

企業研修は「気づきの質」で成果が決まるため、このステップが行動変容の引き金になります。

STEP 7:個人振り返りと行動宣言

最後に、必ず個人で振り返りを行います。
企業研修向けの問いは次のとおり:
・今日の学びで“自部署で使えるもの”は何か
・明日からすぐ実践する行動は何か
・学びをチームに還元する方法は何か

その後、行動宣言を全体で共有することで、研修後の行動実行率が大幅に上がります。

3. ジグソー法を企業研修に導入するメリットと注意点

ジグソー法は「協働学習」や「教え合い」といった教育分野で知られていますが、実は企業研修との相性が非常に良い学習手法です。

この章では、企業が導入したときの具体的メリットと、導入前に押さえておきたい注意点(落とし穴)を整理します。

メリット①:学習定着率が大幅に向上する

ジグソー法の最大の強みは、参加者が“教える前提で学ぶ”構造にあります。教育学では “人に教えることで理解度と記憶定着率が最も高まる” とされていますが、ジグソー法はこの状態を自然に作り出します。

企業研修でよくある、
・話を聞いただけで終わってしまう
・翌日には内容を忘れてしまう

といった課題を構造的に解消できます。

メリット②:対話と協働が自然に増え、組織学習が加速する

ジグソー法では異なる担当領域を持つメンバー同士が教え合うため、講義型研修の数倍の対話が生まれます。

これにより:
・部署間の理解が深まる
・他メンバーの視点が得られる
・チームビルディング効果が高まる

など、“研修の副産物”として組織活性化が起きやすい点が企業導入の大きなメリットです。

メリット③:現場での行動につながりやすい

企業研修の本質は 「学びが職場で使われること」 にあります。

ジグソー法は:
・分解(理解)
・専門化(自分事化)
・教え合い(内省と表現)
・統合(構造化)
・行動宣言(実務への橋渡し)

という流れが“行動変容のフレーム”として機能します。そのため講義中心の研修よりも、現場への転移率(Transfer)が非常に高いのが特徴です。

注意点(導入時に失敗しやすい落とし穴)

企業の初回導入で失敗しやすいポイントを簡潔に整理します。

注意点①:資料分割の設計ミス
最も多い失敗は、資料が多すぎる / 難しすぎるケース。担当パートが理解できないと全員がつまずきます。 “1人10〜20分で理解できる分量”が目安です。

注意点②:教え合いが浅くなる
説明が読み上げだけになり、「結局ただのグループワークだった」という状態に。
練度を上げるためには:
・質問が生まれる仕掛け
・時間制限
・深掘りの問い

などファシリテーションが必要です。

注意点③:オンラインでは工夫が必要
Zoomのブレイクアウトルームで進められますが、 事前共有・ナビゲーションがないと混乱しやすいのが特徴。

活用しやすい企業研修テーマ

ジグソー法はさまざまな分野に応用できます。

・新入社員研修:会社理解・ルール理解・基礎スキル
・管理職研修:評価制度・マネジメントモデル・1on1
・営業研修:提案プロセス・競合分析・顧客分類
・組織開発:心理的安全性・価値観共有・理念浸透

“教え合いながら理解する”構造はほぼすべてのテーマに応用できます。

4. 導入ステップと成功のポイント

企業でジグソー法を導入する際は、「研修の設計 → 当日の進行 → アフターフォロー」の3つを正しく押さえることで効果が最大化されます。

ここでは 企業担当者がそのまま使える導入フローにまとめました。

① 準備(1週間前〜前日):目的と資料分割

まず“目的の言語化”が最優先
例:
・「心理的安全性を4つの要素に分けて理解し、自部署で実践できるようにする」
・「評価制度の背景と運用ポイントを、自チームに説明できる状態にする」

目的が曖昧だと、学習内容も行動変容も曖昧になります。

資料分割は“理解できる単位”で細分化
・10〜20分で理解できる分量
・余白(問い)を残す
・必ず「例」と「用途」を含める

これが最も重要です。

② 当日(本番):60〜120分の標準進行例

企業研修で最も再現性の高い時間配分例を紹介します。

1.イントロ(5〜10分)
 目的・流れ・成果物を共有する

2.エキスパート活動(10〜20分)
 担当資料を読み込み、要点をまとめる

3.ジグソー活動(20〜30分)
 教え合い・質問

4.統合(10〜20分)
 チームで全体構造をまとめる(A4資料 or マップ)

5.プレゼン共有(10〜15分)
 他チーム比較で深まる

6.個人振り返り・行動宣言(5〜10分)

企業研修の参加者は「時間効率」を重要視するため、1〜2時間の中で効果を最大化できる設計が最適です。

③ 研修後(1〜4週間):行動フォローが成果を決める

ジグソー法は体験の質が高いため、研修受講だけで行動変容のきっかけになりやすいものです。。そ研修終了後も受講者を気にかけ、フォローすると行動変容~定着効果はさらに高まります。

1週間後:行動チェック
「宣言した行動」を共有

2週間後:改善ポイントの振り返り
成功・課題のミニ共有会

3〜4週間後:上司レビュー
管理職巻き込みで定着度が上がる企業研修のROIを高めるには、“研修後の1〜4週間をどう設計するか”が最重要です

5. ジグソー法を取り入れた研修プログラムのご案内

ジグソー法は非常に効果的な学習手法ですが、 初回導入では「資料分割」「問い設計」「教え合いの深め方」など 専門的な設計が必要になる場面が多くあります。

ヴォケイション・コンサルティングでは、企業向けに “行動変容まで設計された研修プログラム” を提供しています。

当社プログラムが選ばれる理由

① 目的から逆算した研修設計(行動変容まで一気通貫)
単なる知識理解ではなく、現場の行動に落とし込むまでを設計。

② テーマに応じた分割資料・問い設計をカスタマイズ
各企業に最適化した資料を作成します。

③ ファシリテーション・オンライン対応も含めて提供
初めてでも安心して導入できます。

④ 導入後のアクションプラン策定まで伴走
研修後に行動が定着する仕組みを設計します。

よくあるご相談
・管理職研修を効果的にしたい
・新人研修の“主体性”を高めたい
・社内研修を内製化したい
・部署間のコミュニケーション改善をしたい
・行動が変わる研修を探している

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