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COOはまだ早い?──導入が遅れた会社で起きる「5つの経営劣化サイン」

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COOはまだ早い?──導入が遅れた会社で起きる「5つの経営劣化サイン」

COOという言葉が、
ふと頭に浮かぶ瞬間がある。

誰かに勧められたわけでもない。
流行を追っているわけでもない。
ただ、経営の中で「引っかかる場面」が増えてきた。

社員数はまだ多くない。
売上も致命的に落ちているわけではない。
現場も、今のところは回っている。

それでも、以前と同じやり方では重たい。
判断一つに時間がかかるようになった。
少し目を離すと、数字の動きが鈍る気配がする。

経営者としての仕事と、
現場を回すための仕事。
この二つの境目が、だんだん曖昧になってきた感覚。

「忙しい」というより、
頭が散らかっているに近い。

誰かに愚痴るほどではない。
危機感を煽るほどでもない。
ただ、確実に手触りが変わってきている。

COOを調べ始める経営者の多くは、
役職や肩書きに興味があるわけではありません。

本当に知りたいのは、もっと現実的な話です。

  • このやり方は、いつまで通用するのか
  • 判断を全部自分で抱え続ける前提でいいのか
  • どこかで、やり方を切り替える必要はないのか

COOという言葉は、
その問いを整理するために、たまたま目に入った選択肢の一つに過ぎません。

難しいのは、
会社が目に見えて崩れる前ほど、
「今は踏ん張りどころなのか」「切り替え時なのか」が分からないことです。

数字は出ている。
取引先との関係も悪くない。
社員も、表立って不満は言わない。

それでも経営者だけは、
どこかで感じ始めています。

このまま積み上げても、
広がるイメージが描けない。
少し先の景色が、ぼやけている。

この記事は、
COOを採るべきだと背中を押すためのものではありません。

今感じているその違和感が、
どんな種類のものなのか。
まずは、そこを言葉にするための材料を整理していきます。

COOを入れない会社は、ある段階から“静かに劣化する”

結論からお伝えします。

COOが不在のまま成長フェーズに入った会社は、
あるラインを超えた瞬間から、急に伸びなくなります。
しかもそれは、赤字や混乱といった分かりやすい形では起きません。

一見すると順調。
しかし中身は、確実に摩耗していく。
これが現実です。

多くの経営者は、
「人が足りない」「仕組みが未整備」「忙しい」
といった表現で違和感を処理しがちです。

ですが、私たちが経営支援の現場で見てきた限り、
問題の本質はそこではありません。

COOがいない状態で起きているのは、
能力不足でも、努力不足でもなく、
経営構造の限界です。

特定の誰かが悪いわけではない。
社長が優秀であればあるほど、
この劣化は表に出にくく、長く放置されます。

その結果、会社の中では次のような現象が重なっていきます。

経営劣化サイン①社長の判断は正しいが、とにかく遅くなる

判断そのものは間違っていない。
ただ、全部が社長の頭と時間を通過しないと前に進まない。

現場は待つ。
数字も止まる。
結果、意思決定のスピードが会社全体の天井になる。

社長自身は忙しく働いているのに、
組織のスピードはむしろ落ちていく。
この状態が始まったら、構造的な転換点に入っています。

経営劣化サイン②会議が「報告の場」になり、決断が消える

資料は揃っている。
数字も一通り見ている。
しかし、会議が終わっても何も変わらない。

次に何を止めるのか
何を優先するのか
誰が責任を持つのか

それが決まらないまま、また次の会議を迎える。
この状態は、会議設計の問題ではありません。
経営の実行中枢が不在であるサインです。

経営劣化サイン③できる人ほど疲れ、静かに離脱する

権限はない。
しかし、頼られる。
責任は重いが、決定権はない。

結果、優秀な人ほど消耗し、
「これ以上ここで頑張っても、景色は変わらない」と感じ始めます。

退職という形を取らなくても、
当事者意識が薄れ、思考が止まる。
これも立派な劣化です。

経営劣化サイン④施策は増えるのに、売上インパクトが出ない

新しい施策を次々打っているのに、
数字の伸びは鈍いまま。

理由は単純です。
どこが本当のボトルネックなのか、誰も定義していない。

「全部やる」経営は、
結果的に「何も突破しない」経営になります。

経営劣化サイン⑤社長が未来の仕事に一切手を付けられない

本当はやりたいはずの仕事。
中長期戦略、新規事業、採用設計、組織の再設計。

しかし現実は、
今日の判断と調整と確認で一日が終わる。

社長が現場最適の管理者に固定されると、
会社の未来は自然と縮んでいきます。

これらのサインが2つ以上当てはまるなら、
それは「まだ早い」状態ではありません。

なぜこの劣化は「気合」や「仕組み化」では止まらないのか

ここまで読んで、
「うちも当てはまる部分がある」
そう感じた経営者もいると思います。

そのとき、多くの人が次に考えるのはこの辺りです。

  • 自分がもっと頑張ればいい
  • 優秀なマネージャーを育てればいい
  • ツールや仕組みを整えれば回るはず

実際、これらを試す会社は少なくありません。
しかし、結果として状況が大きく改善するケースは多くない。
なぜか。

理由はシンプルで、
起きている問題のレイヤーが違うからです。

今起きている劣化は、
「人の能力」や「努力量」の問題ではありません。
意思決定と実行をつなぐ構造そのものの問題です。

たとえば、タスク管理ツールを導入したとします。
確かに、やることは整理されます。
しかし、「何をやらないか」「どこに集中するか」は決まりません。

評価制度を整えたとします。
行動は多少揃うかもしれない。
ただし、その行動が経営のボトルネックに直結しているかは別問題です。

つまり、
「実行の効率」は上がっても、
「実行の方向」は誰も決めていない状態が続く。

ここに、経営の空白が生まれます。

社長は、
戦略・意思決定・現場調整・顧客対応・採用判断
すべてを同時に抱えています。

一方、現場は現場で、
「何が正解なのか分からないまま」
日々の業務を回している。

この両者の間に必要なのは、
カリスマでも、万能プレイヤーでもありません。

必要なのは、
社長の意図を分解し、現場が動ける形に翻訳し続ける役割です。

これが欠けたまま成長フェーズに入ると、
会社は「動いているのに進まない」状態に入ります。

努力している。
改善もしている。
それでも、なぜか前ほど手応えがない。

それは、
エンジンは回っているが、
ギアが噛み合っていない状態に近い。

このズレは、
根性論でも、部分的な仕組み化でも、
基本的には解消されません。

だからこそ、
多くの会社で「気づいたときには疲弊していた」という事態が起きます。

COOを入れる前に考えるべき「3つの分岐点」

「じゃあ、やはりCOOを採用するべきなのか」
そう思うかもしれません。

ただし、ここで急いで結論を出すのはおすすめしません。
重要なのは、人を入れるかどうかではありません。

今のやり方のどこを切り替えるべきかを見極めることです。

その判断のために、
最低限押さえておくべき分岐点が3つあります。

分岐点①人を入れるのか、機能を入れるのか

最初に整理すべきなのは、
「COO=採用」と短絡しないことです。

本質は、
経営と現場をつなぐ“機能”が不足しているかどうか。

フルタイムで人を雇う前に、
まずは次の問いに答える必要があります。

  • 今、詰まっているのはどこか
  • 判断が遅いのか、実行がズレているのか
  • 数字の見方が揃っていないのか

これを整理せずに採用すると、
肩書きだけのCOOが生まれ、
余計に意思決定が複雑になることもあります。

分岐点②フルタイムか、部分導入か

仮に機能不足が明確になったとしても、
いきなりフルタイムのCOOが最適とは限りません。

会社のフェーズによっては、

  • 特定領域だけを任せる
  • 期間限定で入る
  • 意思決定プロセスの設計だけ支援する

こうした形の方が、
コストもリスクも低く、現実的なケースは多い。

重要なのは、
「全部任せる」ではなく
「どこを任せるか」を言語化できているかどうかです。

分岐点③いま解くべき経営ボトルネックは何か

最後に、最も重要な分岐点です。

売上なのか
組織なのか
スピードなのか
再現性なのか

すべてを同時に改善しようとすると、
結局どれも中途半端になります。

COOという存在が真価を発揮するのは、
「今はここを突破する」と
経営側が明確に決めているときです。

逆に言えば、
この優先順位が曖昧なままでは、
誰が入っても成果は出ません。

COOを検討する前にやるべきことは、
肩書きの議論ではなく、
経営の詰まりを構造として整理すること。

それができたとき、
はじめて「入れる・入れない」の判断が意味を持ちます。

いまの段階で経営者がやるべき、現実的な一歩

いきなり大きな決断をする必要はありません。
むしろ、段階を飛ばす方が失敗します。

ここでは、実際に多くの経営者が踏んでいる、現実的な順序を整理します。

「忙しさ」ではなく「止まっている箇所」を書き出す

まずやるべきは、課題の棚卸しではありません。
やることリストを増やすと、余計に混乱します。

見るべきは次の3点だけです。

  • 判断に時間がかかっている場面
  • 現場の動きが揃わない場面
  • 数字を見ても、次の一手が決まらない場面

ここを具体的な出来事ベースで書き出してください。
抽象化は不要です。
「先月の〇〇の件で止まった」「会議で決まらなかった」
それで十分です。

「誰の判断が足りていないか」を切り分ける

次に、その場面で考えます。

  • 自分が判断しきれていなかったのか
  • 現場に任せられる状態ではなかったのか
  • そもそも判断基準が共有されていなかったのか

ここで初めて、
「人の問題なのか」「役割の問題なのか」が見えてきます。

この切り分けができていない状態で人を入れると、
ほぼ確実に期待と現実がズレます。

「全部」ではなく「今月動かす一点」を決める

多くの経営者が失敗するのは、
同時にすべてを良くしようとすることです。

売上も
組織も
スピードも
再現性も

全部重要ですが、同時には動きません。

今月、
「ここが一段進めば会社が楽になる」
そう言い切れる一点を決めてください。

それが決まらない場合、
それ自体が、外から視点を入れるサインでもあります。

「採用」ではなく「設計」を先にする

この段階まで来て、
初めて「誰に、何を任せるか」を考えます。

フルタイムなのか
部分的なのか
期間限定なのか

この順番を守るだけで、
COOを巡る失敗確率は大きく下がります。

逆に言えば、
この整理をせずに進めると、
どれだけ優秀な人でも力を発揮できません。

もしここまで読んで、
「自分一人で整理するのは正直きつい」
そう感じたなら、それは自然な感覚です。

実際、多くの経営者は
頭の中では分かっていても、
外に出して言語化する段階で詰まります。

そういうときは、
いきなり人を探すのではなく、
今どこで判断や動きが止まっているのかを、
一度落ち着いて整理する時間を取る

COOを雇うかどうかを判断する前に、
CXOとして経営に関わる人財が、
どんなフェーズで必要とされるのかを知っておくのも一つです。

その具体像を掴む参考として、こちらもご覧ください。
https://vc-corp.net/cxo/recruitment/

「いま何を変えるべきか」が見えれば、
次の判断は、驚くほど楽になります。