「採用には成功したのに、なぜか辞めてしまう」
「育成計画を立てたはずなのに、現場で形骸化している」
そんな悩みを抱える中小企業は少なくありません。
その背景には、育成や評価を“仕組み”として設計・運用できるCHRO(最高人事責任者)機能の不在があります。
どれだけ採用に力を入れても、「人が育たず、活かされず、離職していく」構造を変えなければ、組織の成長は止まったままです。
本記事では、中小企業が抱える“人が育たない”根本原因と、CHROによって育成・定着の仕組みをどう設計できるのかを解説します。
人が育たない組織に共通する“3つの欠如”
「人材が定着しない」「育成が思うように進まない」──こうした課題を抱える中小企業には、共通して“目的・設計・接続”の3つが欠けていることが少なくありません。
目的の欠如:採用のゴールが「入社」で止まっている
多くの企業では、採用活動のゴールが「入社」に固定されがちです。
しかし本来は、「どう育ち、どう活躍してもらうか」までを見据えてはじめて、採用の意味が生まれます。育成や評価の設計が後手に回ることで、せっかくの人材が定着しない原因にもなります。
設計の欠如:育成・評価が場当たり的で属人化している
現場任せのOJTや、感覚的な評価制度では、人によって成果や成長のばらつきが大きくなります。役割ごとの育成ステップや、基準の明確な評価制度がなければ、社員自身も「何を期待されているのか」が見えないまま働くことになり、モチベーションの低下や早期離職にもつながります。
接続の欠如:経営方針と人事施策が分断されている
たとえば「今期は新規事業に注力する」という経営方針があっても、現場の人事施策が従来通りのままでは、必要な人材の採用・育成が進まず、戦略と組織がかみ合わない状態が続きます。
このような分断を防ぎ、経営と人事をつなぐ機能こそが、CHRO(最高人事責任者)の役割です。
“人が育たない”のは、個々の能力の問題ではなく、組織設計の欠如による構造的課題であることが多いのです。中小企業こそ、戦略的な人材育成の仕組みづくりに一歩踏み出すべきタイミングかもしれません。
育成を仕組みに変えるCHROの視点|入社後のオンボーディング設計
せっかく採用した人材が、現場で戸惑い、馴染めずに離職してしまう
そんな事態を防ぐために必要なのが、入社直後から「育つ前提」で設計されたオンボーディングの仕組みです。CHROが担うオンボーディングは、単なる初期研修ではありません。
重要なのは、人材要件・評価制度・育成方針の3つが一本の軸でつながっているかどうかです。
たとえば、「自律的に動ける人材を求めている」にもかかわらず、日々の業務が指示待ち前提だったり、評価基準が曖昧で成果が見えづらかったりすれば、社員は成長の方向性を見失ってしまいます。
さらに近年では、人事データの蓄積と活用もオンボーディング設計に欠かせない視点です。
入社後の行動傾向やフィードバック内容をもとに、適性配置や昇格タイミングを設計することで、属人的ではない“育つ仕組み”をつくることができます。
こうした仕組みづくりを現場任せにせず、経営視点から設計・推進するのがCHROの役割です。人が「定着し、戦力化し、活躍する」までの道筋を戦略的に描けるかどうかが、組織の成長スピードを大きく左右します。
CHROが“教育担当”ではなく“人材戦略責任者”であるべき理由
多くの中小企業では、育成やOJTが現場任せ、あるいは社長の感覚に依存しているケースが少なくありません。しかし、組織が拡大し、事業が複雑になるにつれ、こうした属人的な育成には限界が訪れます。
本当に必要なのは、目の前の教育対応ではなく、「どんな人材を、どのタイミングで、どう育てるか」を中長期で設計する視点です。
たとえば、3年後に新規事業を拡大したいと考えているなら、その時点でリーダーを担える人材を、今から採用・育成しておく必要があります。このように、未来の組織像から逆算して“人づくり”を設計することこそが、CHROの担うべき役割です。
さらに、育成や人材配置は単体で成立するものではなく、経営戦略と連動していなければ成果は出ません。どの事業を伸ばすのか、どの部門に力を入れるのか。その意思決定に基づいて、採用・育成・評価のすべてを整合させる必要があります。
こうした全体設計を推進する“人材戦略責任者”として、CHROの存在が不可欠なのです。
教育係や研修担当では実現できない、経営に直結する「人づくり」を担うポジション -それがCHROです。
フルタイムでなくてもいい?CHRO機能を導入する方法
「CHROが必要だとは思うけれど、常勤で採用する余裕はない」
そんな中小企業でも、フルタイムにこだわらずCHRO機能を導入する選択肢は十分にあります。たとえば、
- 週1回の経営会議にだけ参加する社外CHRO
- 人事制度や育成計画の整備だけを依頼するプロジェクト型CHRO
- 相談ベースで支援を受けられる人事顧問
といった形で、必要なタイミング・範囲に絞って外部の専門知見を活用する方法があります。
また、「まずは評価制度だけ」「オンボーディングだけ仕組み化したい」など、部分的な仕組みづくりから外注することも可能です。
自社のリソースだけで完結させようとせず、外部の力を借りながら社内にノウハウを蓄積し、最終的に“自走できる体制”を育てていくのが現実的なステップといえます。コストを抑えつつ、経営に必要な人材戦略機能を強化したい企業にとって、柔軟なCHRO導入は有効な選択肢です。
まとめ|採用成功の次に必要なのは「人を育て、活かす」仕組み
どれだけ採用が上手くいっても、人が育たず辞めていってしまえば、組織はいつまでも安定しません。いま求められているのは、「採って終わり」ではなく、人材が活躍し続ける“仕組み”をつくることです。
その設計と推進を担うのが、CHRO(最高人事責任者)の役割です。
人材要件の明確化、育成計画、評価制度、そして組織戦略との接続──これらをバラバラではなく、ひとつの戦略として束ねて実行できる人材がいれば、組織の成長は加速します。
特に中小企業においては、属人性から脱却し、「人事」を経営機能として再構築することが、離職や人材不足といった慢性的課題の突破口になります。
「辞めない組織」「育つ組織」には、CHROという視点と機能が不可欠です。
まずはCHRO機能の導入から検討してみませんか?
「人が育たない」「辞めてしまう」
その背景にある構造的な課題を、戦略人事の視点から一緒に見直してみませんか?
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